説明と同意とは ― 契約との違いと、説明記録が必要になる理由
公開日:2026年8月17日一次資料の最終確認日:2026年8月17日
要点
- 説明と同意は、相手が内容を理解したうえで受け入れる過程です。契約は、権利義務を発生させる合意です。目的も、必要になる場面も違います。
- 同意を得たことは、説明した側の責任を消しません。説明の内容が不十分だったり、相手が理解できる形で伝わっていなければ、同意書があっても争いになります。
- だからこそ意味を持つのが、「いつ・誰が・誰に・何を説明し、相手がどこまで確認したか」の記録です。
- 電子署名(電子契約)と、説明記録はまったく別のものです。電子署名法の推定効は文書の成立の真正に関する話で、説明が十分だったかを保証するものではありません。
説明と同意、契約、記録の違い
まず、混同されがちな3つを分けます。
| 何をするものか | 主に必要になる場面 | |
|---|---|---|
| 説明と同意 | 相手が内容を理解したうえで受け入れられるようにする過程 | 医療、介護、福祉、教育、工事、金融商品など、相手に不利益や選択が生じる場面 |
| 契約 | 当事者間に権利義務を発生させる合意 | サービスの提供、売買、請負など |
| 説明記録 | 説明が行われた事実と、その内容・時点・相手を後から確認できるようにする | 認識の食い違いが起きたとき、担当が交代したとき、行政の指導・監査を受けるとき |
契約書には同意欄が含まれていることが多いため、この3つは実務では1枚の紙に同居しています。ただし、同居しているだけで同じものではありません。トラブルになったとき問われるのは、たいてい「契約したか」ではなく「そこまで説明を受けていたか」です。
説明が法令で求められている場面の例
説明が求められる根拠は、業種ごとの法令に分かれています。代表的なものを挙げます(自分の業務にどれが当てはまるかは、必ず所管する行政庁や専門家にご確認ください)。
- 医療:医療法では、医師・歯科医師・薬剤師・看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないとされています(医療法第1条の4第2項)。
- 不動産取引:宅地建物取引業法では、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士が重要事項を説明することとされています(同法第35条)。
- 介護・障害福祉:運営基準(指定基準)で、サービス提供の開始に際して重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得ることが定められています。
- 建設工事:建設業法では、請負契約の当事者が契約の内容を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付することとされています(同法第19条)。
共通しているのは、「相手が判断できる状態にすること」が求められている点です。書面を渡した事実だけでは足りない、という組み立てになっています。
「同意をもらったから安心」が危ない理由
同意書に署名があっても、説明された内容そのものが不十分だった場合や、相手が理解できる形になっていなかった場合には、説明した側の責任がなくなるわけではありません。同意書は「説明した」ことを推認させる材料の一つであって、責任を移す仕組みではありません。
個別の事案で法的な責任がどうなるかは、状況によって大きく変わります。実際に紛争が生じている場合、または生じるおそれがある場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。
実務でよく起きるのは、次のようなずれです。
- 説明した項目が、同意書に列挙された項目より少なかった
- 本人には説明したが、実際に判断する立場の家族には伝わっていなかった
- 担当者が交代し、前任者がどこまで説明したか誰も分からなくなった
- 内容を後から変更したが、変更点を説明した記録が残っていない
いずれも「同意書があるかどうか」では防げません。防げるのは、説明の過程が残っているかどうかです。
説明した事実と、相手が理解したことは違う
記録を作るときに気をつけたいのは、この2つを同じ欄に書かないことです。
- 説明した事実:いつ、誰が、誰に、どの資料を使って、どの項目を説明したか。これは説明した側が記録できます。
- 相手の受け止め:どこまで見たか、どの点について質問があったか、何を確認したか。これは相手の行動として残ります。
「理解した」と書けるのは、本来は本人だけです。説明した側が記録できるのは、あくまで相手がどこまで確認したかという事実です。この線引きを守った記録のほうが、あとから読んだときに信頼できます。
電子契約・電子署名との違い
「同意をオンラインで取りたい」と考えると、電子契約サービスが候補に挙がります。しかし、電子署名が扱っているのは別の問題です。
電子署名法第3条は、一定の要件を満たす電子署名が行われた電磁的記録について、真正に成立したものと推定するという規定です。総務省・法務省・経済産業省は令和2年9月4日に「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」を公表し、いわゆる立会人型のサービスでも一定の条件のもとで同条の推定が及びうるという整理を示しています。同Q&Aでは、実際の裁判で推定が認められるためには、利用者の本人確認が行われていることが重要な要素になると考えられる、といった点も示されています。
ここで扱われているのは「その電子文書が本人の意思で作られたと推定できるか」という論点であり、「説明が十分だったか」「相手が内容を確認したか」は別問題です。電子署名を導入しても、説明の過程が記録されていなければ、認識の食い違いには対処できません。
EXPLOG は電子署名・電子契約のサービスではありません。契約書の作成・締結を目的としたサービスでもありません。説明した内容を相手に届け、相手が後から何度でも確認できる状態をつくり、その経過を記録として残すためのものです。
何を残しておくと後で困らないか
- いつ説明したか(日時)
- 誰が説明したか(担当者)
- 誰に説明したか(本人/家族/代理の方。複数いる場合は全員)
- どの資料・どの版を使ったか(後から差し替わっていないと言えるか)
- どの項目を説明したか(口頭で補った内容も含めて)
- 相手がどこまで確認したか(開いたか、最後まで見たか、確認の意思表示があったか)
- 質問と回答があれば、その内容
- 後から内容を変更した場合、変更点をいつ誰に伝えたか
これらは特別なことではなく、担当が交代しても引き継げる形にしておく、というだけの話です。ただ、口頭と紙が混ざった運用では、この粒度をそろえ続けるのが難しいという現実があります。
EXPLOG は、説明した内容を相手にリンクで届け、開封・閲覧・確認の状況を一覧で把握できるようにするサービスです。受け取る側はアカウント登録もアプリのインストールも不要で、ブラウザで開くだけ。説明した事実と、相手が確認した事実を、別々の記録として残せます。
EXPLOG でできることを見る本サービスは「説明して確認してもらった」記録の場を提供するものです。法的な証拠能力の有無は具体的な状況によって異なります。契約書の作成・締結を目的としたサービスではありません。
参照した公的資料
- 利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)令和2年9月4日/総務省・法務省・経済産業省(PDF)
- 同Q&A(総務省掲載分)/総務省(PDF)
- 医療法(昭和23年法律第205号)/e-Gov法令検索(第1条の4第2項=説明と理解を得る努力義務)
- 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)/e-Gov法令検索(第35条=重要事項の説明)
- 建設業法(昭和24年法律第100号)/e-Gov法令検索(第19条=請負契約の内容と書面の交付)
- 電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)/e-Gov法令検索(第3条=推定効)
※ 説明義務の具体的な内容・範囲は、業種と個別の状況によって異なります。本ページは代表的な条文の所在を示すもので、個別の事案における法的な当否を判断するものではありません。
本ページは、法令および国が公開している資料の所在をご案内する情報提供です。法的助言ではありません。説明義務の内容は業種ごとの法令と個別の事情によって異なり、同意を得たことによって法的責任が当然に免れるわけではありません。医療・介護など個別の法令が関係する場面や、実際に紛争が生じている場合は、所管の行政庁または弁護士等の専門家にご確認ください。